活動報告

2020.12.15

Walamono Lab 2020年の活動報告

三河山間地域の将来を担う地元の中高生たちと一緒に、その地域の課題を考察し、魅力ある情報発信を通じて、持続可能な地域づくりのための活動に取り組む『Wakamono Lab(三河山間地域情報発信研究所)』。

2020年度は一般社団法人新城青年会議所と三河の山里サポートデスクの共催事業とし、新城市内の中学生たちが地元企業を取材、撮影し、PR動画を作成してネット配信することで、日本全体に地域の魅力を発信する取り組みをおこなった。

これは、昨今のコロナ禍で実施が控えられている中学校の職場体験に代わるキャリア教育の一環としておこなわれ、中学生の勤労観や職業観を養うとともに、過疎化で次世代の担い手不足が深刻な山間地域において、地元企業の魅力を認識することで、教育機関卒業後の就職先としての地元を選択肢の一つにしてもらおうという狙いもある。

本年度は新城市内の中学校2年生が動画の作り手となり、地元企業8社のPR動画に臨んだ。

PR動画制作にあたっては、映像制作や映像広告を手掛ける株式会社ジフロの代表取締役で、動画クリエイターの育成やYouTubeにも詳しい岩田拓朗氏が監修。

動画撮影を実施する前には岩田氏が講師となり、新城市内の中学校で3度の講座をおこなった。

第1回目の講座は7月28日(火)に新城市内の中学校において、5・6時限目の授業を使ってYouTubeの基礎講座と動画づくりに向けたグループワークを実施。人気ユーチューバーの動画を例に、多くの人たちが見てくれる動画作りのポイントやプロセスを岩田氏が講義した。さらにこの日の講座の後半では、実際に動画を作るために必要な役割決めと絵コンテ(台本)づくりのグループワークをおこなった。今回は8社の地元企業のPR動画を作るため、生徒たちを1班4~5人の8つのグループに分け、そのグループ毎に、動画に出て取材する人(出演者)、動画を撮る人(カメラマン)、動画を構成する人(ディレクター)を決めるとともに、担当企業先の特徴をネット等でリサーチし、取材内容や動画の絵コンテ、台本などの構成を企画する作業をおこなった。

9月23日(水)・24日(木)には、8班に分かれた生徒たちはそれぞれ担当地元企業への取材とロケハンのための企業訪問を実施。生徒たちは自分たちで企画した絵コンテや台本をもとに、動画に収めたい人、場所、モノ、内容が撮影可能か否かのヒアリングやロケハンをおこなった。取材に協力した企業の担当者からは「中学生の感性で、弊社をどのように動画で表現してくれるのか楽しみ」といった期待の声を得ることができた。

企業訪問後は持ち帰った情報を元に、生徒たちは動画の絵コンテや台本の完成に向け、ブラッシュアップ、修正をおこなった。

9月29日(火)は、新城市内の中学校にて岩田講師による2回目の講座を実施。チームごとに動画の絵コンテと共に企画案内容をプレゼンテーションし、発表後には岩田氏からの感想やアドバイスを共有する時間となった。岩田氏は「どのチームも絵コンテ(台本)がよくできていると感心した。どんな映像にしたいのか、大枠のイメージを持つことができた。それぞれにおもしろい動画になりそう!」と総評した。

また、講義後半では、出演者、カメラマン、ディレクター、それぞれの役割や心得が岩田氏から伝えられ、「とにかく楽しく!失敗を恐れないで!」とエールが贈られた。それに応えるように、生徒からは「この講座を踏まえ、より良い動画を作りたい!期待していてほしい」との力強く頼もしい言葉を聞くことができた。

10月22日(木)23日(金)には、中学生たち自らが作成した絵コンテと台本を元に企業での動画撮影をおこなった。企業の全面的な協力により動画撮影はスムーズに進行。各チームが撮った動画を確認した岩田さんからは「想像以上に良い映像が撮れている!」との評価を得た。中学生の目線や感性によって撮影された動画は、中学生たちが作成した絵コンテや台本に沿って岩田氏が編集し完成させた。

その完成した動画を中学生たちの手でYouTubeにアップさせる作業を12月15日(火)に実施。岩田氏による3回目の講座だったが、緊急事態宣言下であったため、岩田氏はビデオ出演での講義となった。代わりに動画の投稿手順の説明は、今回のプロジェクトリーダーである新城青年会議所の原田直彦氏が務め、中学生が作った地元企業のPR動画をYouTubeに投稿。世界に配信した。

講座の最後には岩田氏から「動画を作ることの楽しさを知ると共に伝えることの難しさも知ったと思うが、新城の企業のPR動画を自分たちで考え、作り上げたことは誇ってよいこと。これを機に動画を作ることや物事を人に伝えることに興味を持ってもらい、もっと深く勉強してもらいたいと思う。そして、これからも新城のことを伝える動画を作ってどんどんYouTubeに投稿して、新城の魅力を世界に発信してもらえたら嬉しい」とメッセージ。

中学生からは、「自分たちで動画を作ることができて良かった。新城には良い企業がたくさんあることもわかった」との感想を得ることができた。

新城青年会議所の原田氏も「新城には優良企業がたくさんあることを忘れず、皆さんが就職する時の選択肢の一つとしてほしい。そして、こんな動画を自分たちで作ったんだよ、ということをぜひ口コミで多くの人に伝えてほしい」という言葉で講座を締めくくった。